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2013/05/09 「農業はすでに『日本国全体を挙げてコメの開放を含めて決議した』とアメリカに伝えられている」 ~TPPを考える訪米団報告会

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特集:TPP問題

 2013年5月9日(木)16時、東京都千代田区の衆議院第二議員会館において、「TPPを考える国民会議」と「TPPを慎重に考える会」の合同による「TPPを考える訪米団報告会」が開かれた。超党派の国会議員や有識者らで構成された訪米団は、4月22日から4日間ワシントンを訪問し、20名を超すアメリカ議会の議員や業界団体関係者らと面談した。

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◆報告の要旨

◎原中勝征氏(TPPを考える国民会議世話人・日本医師会前会長)

 TPPに関する日本側の動きや、安倍内閣が認められたと言っているセンシティブな問題(コメの聖域化など)について、向こう側は全く知らない。自民党が掲げたTPP参加条件を見て、「こんなこと、聞いたこともない」と顔色を変える議員すらいた。我々は、国家主権にかかわる問題なのに、TPPによって日本の文化が壊され、強制的に変えられることについて、「あなた方は2000年の我々の文化をどう思うのか」と主張してきた。

 TPPを、日本のマスコミはなぜ採り上げないのか。賛成でも反対でもいい。このプロセスを国民に知らせるというマスコミの責任が全然行われていない。郵政民営化のときと同じか、それ以上に隠している。TPPとは「高度なもの」であって、日本で論じられているようなこと(聖域死守)は決してない。聖域が認められないときは、TPP交渉参加に賛成した国会の先生方はいったいどういう態度を取るのか。


◎篠原孝氏(TPPを慎重に考える会会長・民主党)

 私は残念ながら訪米団に参加できなかったが、参議院選挙に向け、農業関係者などから、「自民党は良くない、嘘をついている」との声を聞く。反TPP票の受け皿となる候補者擁立を検討していく。


◎山田正彦氏(元農水大臣)

 面談したカトラー氏(米通商代表補)に「コメの聖域を認めるのか」と聞いたら、「セーフガードもしくは長期ステージによって、関税を撤廃していく」とはっきり答えた。聖域を主張したコメにおいてすら、そう(関税撤廃)なのだから、ましてや、その他の品目、牛肉や豚肉とか乳製品といったものにおいては、関税の例外や除外などというものは一切ないということだ。カトラー氏は「通商代表部や、私としても、日本の交渉参加を90日の間に米議会が認めてくれるかどうかは深刻な問題である」と言った。

 10年前、共和党議員の63%が自由貿易に賛成だったのに、今は63%が反対している。アメリカ国民の78%は自由貿易やTPPに反対している。NAFTAによるメキシコからの不法移民などの問題で堪えて(こたえて)いる。アジアから大量の安い労働力流入や、米企業がアジアに出て行くことを心配している。


◎舟山康江氏(訪米団副団長・みどりの風)

 日本政府は例外が獲れるという前提で交渉に入ろうとしているが、日本が例外を求めていることをアメリカ側はほとんど知らない。「日本は完全自由化を決断した」とアメリカ側は思っている。アメリカ側の議員の中には、「国会決議だと思っていた」「これは本当なのか」「政府に確認してみる」と血相を変えていた人もいた。日米で大きなギャップがあるという前提で、本当のことを包み隠さずに検討すべきだ。アメリカ側は「TPPに例外はなく、段階的関税撤廃とセーフガード設定だ」と言っている。「もう、例外はない」と言っても過言ではない。


◎福島伸享氏(民主党)

 アメリカでは、TPPについて、「アジア太平洋の成長を取り込む」とか「中国封じ込め」とか日米同盟強化など、麗しい理念を考えている人は恐らくほとんどいない。「おらが村の産品が売れるのかどうか」「やれるか・やられないか」で判断している。アメリカ側には「インナーサークル」ができている。ある公聴会に出てきたGEの副社長は、もともとUSTRの副代表だった人物。いわば「回転ドア」である。つまり、USTRに行ったり、議員スタッフをやったり、企業交渉役をやったりしている。

 アメリカにとって一番のセンシティビティは自動車である。それですら、「我々は長期の関税撤廃を約束した。次は日本がカードを切る番だ」ということであり、日本のセンシティビティであるコメの例外化は極めて困難だろう。自動車関係の人たちは、「TPPに日本が入るのは反対」と言っているが、TPP交渉を通じて、「もっと日本にアメリカ車を売れるルールを作るのであれば賛成」である。要はTPP反対というポーズを示し、USTRの尻をひっぱたいているのである。


◎首藤信彦氏(民主党)

 TPPにおける、日米の認識ギャップがひどい。もう、農業は日米交渉の対象ではない。農業はもう、すでに、「日本国全体を挙げてコメの開放を含めて決議した」という形でアメリカに伝えられている。例外・聖域というものは一切ない。「言ってない」「書いてない」と言っても、日米会談のキモは、カトラー氏が言っているように「高い水準での協定に合意した」ということ。全部認めたということ。一網打尽である。

 アメリカは、「日本でアメリカ車が売れないのは、日本側が様々な汚い制限を設けているから」と思っている。つまり、「軽自動車というカテゴリーを設けていること自体が、日本の汚いビジネスのやり方の典型だ」と思っている。ただ、自動車分野に関しては、前回(昨年1月)の訪米時とは異なる印象を持った。部品についてのサプライチェーンの開放、要は、「アメリカ製の自動車部品を買え」と、日本の自動車メーカーに対して門戸開放を迫ってくるという状況になっている。

 アメリカの議員のスタッフと話していてつくづく感じたのは、ニュージーランドに対する不満が非常に強いということ。これは前回訪米時にはなかった印象だ。何が問題になっているのか、ニュージーランド側と共同戦線を張る必要がある。訪米団のワシントンポスト掲載記事のタイトルは「ライスロビー」だった。アメリカにおいてロビー活動は悪い意味ではなく、「みんながやる、良いこと」である。「TPPを止めたい」「有利な条件にしたい」のならば、ロビー活動を一生懸命やらないといけない。


◎徳永エリ氏(民主党)

 今回の訪米団が大変意義あるものとなったのには、国際弁護士の猿田佐世さんの尽力があった。事前にアメリカ側にたくさんのアポを取っていただくなど精力的に動いてくださった。彼女がいなければここまでうまくいかなかった。
【IWJテキストスタッフ・久保元】

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